深夜、古びたコンビニの蛍光灯がチカチカと音を立てる。本来なら退屈なはずの「夜勤」が、これほどまでに恐ろしく、そして中毒的なものになるとは誰が予想しただろうか。
Live Motion Gamesが放つ『Corner Shop: NightShift』は、単なる店舗経営シミュレーターではない。それは、過去の過ちに囚われた一人の男の精神世界を覗き見る、極めて濃厚なサイコロジカル・ホラー体験だ。
絶望の淵で「品出し」をするというリアリズム

プレイヤーが操作するのは、アダム・キャラハン。妻は去り、娘の親権すら失いかけている「人生の敗残者」だ。彼に残された唯一の希望は、このボロいコンビニでの夜勤を全うし、まともな生活を取り戻せると証明すること。
ゲームの基本サイクルは、スキャン、品出し、清掃、納品対応といった馴染み深いコンビニ業務だ。スナックやサンドイッチ、果てはケバブまで売りさばき、売上で店をアップグレードしていく。この「コツコツ働く」感覚が、驚くほど手になじむ。

しかし、本作が異質なのは、そこに「正気(サニティ)の管理」が入り込む点だ。アダムは精神を病んでおり、常に薬を服用しなければならない。薬を怠れば、視界は歪み、ありもしない幻聴が耳を突く。客が不気味な怪物に見えるのは、果たして店の怪奇現象なのか、それともアダムの脳が見せている幻覚なのか。この境界線の曖昧さが、プレイヤーの不安をじわじわと煽ってくる。
「ただの夜勤」を許さない、容赦なき恐怖演出

実際にプレイしてみると、その没入感に圧倒される。レジ打ちに集中している背後で、突如として鳴り響くアラームや、勝手に消える照明。監視カメラに映る「何か」を確認しに行く時のあの心細さは、並のホラーゲームを凌駕する。
特筆すべきは、客との対話だ。身分証をチェックして酒や煙草を売る際、たまに「この世の者とは思えない」支離滅裂なことを口にする者がいる。あるいは、万引き犯をモップで叩きのめした後の、あの言いようのない虚脱感。
「早くシフトを終わらせて、娘のために金を稼がなければ」という切実なモチベーションがあるからこそ、襲い来る恐怖やストレスがより重く、リアルに感じられるのだ。正直、深夜の静まり返った部屋でプレイしていると、背後の物音に敏感になってしまうほどだった。
経営と物語が交錯する、15時間の「再生」への道

本作はストーリーモードだけでなく、経営に特化したエンドレスモードも搭載している。ストーリーモードはプレイヤーの選択によって4つのエンディングに分岐するため、一筋縄ではいかない。アダムの過去、消えた妻の行方……断片的に語られる真実を繋ぎ合わせる過程は、ミステリーとしても非常に質が高い。
UIの操作感に若干のクセがあり、大量の発注作業に「手が足りない!」と叫びたくなる瞬間もあるが、それすらも「深夜ワンオペの過酷さ」として楽しめてしまうから不思議だ。
もしあなたが、単調なシミュレーターに飽き、心臓を抉るような物語と、手に汗握るスリルを求めているなら、迷わずこの「コーナーショップ」のドアを叩いてほしい。ただし、薬を飲むことだけは忘れないように。
ゲーム概要
- タイトル: Corner Shop: NightShift
- ジャンル: 一人称ナラティブ・ホラーシミュレーター
- 発売日: 2026年3月12日
- 価格: ¥ 2,300
- 開発/パブリッシャー: Live Motion Games / PlayWay S.A
- 対応プラットフォーム: Steam(日本語字幕対応)
- 主な特徴:
- 重厚なストーリー: 選択によって4つの結末へ分岐する、約15時間の物語。
- 本格経営シミュレーション: 品出し、接客、店のアップグレード、資金管理。
- サバイバル要素: ストレス管理と薬の服用、不気味な客や怪奇現象への対応。
- 多彩なモード: 経営を極める「エンドレスモード」や、視聴者が介入できる「ストリーマーモード」を搭載。
- ストアリンク: Steam Store






