「手を使うのは時間の無駄、銃を使え」。そんなジョー・ハネスの怒号が聞こえてきそうな一作が、ついにそのベールを脱いだ。
本作『American Cooking Simulator: Multiplayer』は、アメリカンスピリットを「過剰な火力」で体現した、前代未聞のマルチプレイ・クッキングアクションだ。舞台はジョーズ・フリーダム・バーガーズ。プレイヤーに与えられるのは調理器具ではない。ピストル、ショットガン、そしてアサルトライフルだ。
弾丸でパティを焼き、硝煙でバンズを運ぶ

ゲームを起動して数分、私は呆然とした。目の前にはバンズ、肉、そしてレタス。普通ならトングで掴むところだが、このキッチンにそんな軟弱なツールは存在しない。肉を動かすには撃つ。焼くには火力をぶち込む。ただそれだけだ。
物理演算が効いた食材たちは、銃弾の衝撃でキッチン内を縦横無尽に飛び交う。パティをフライパンに放り込むつもりが、ショットガンの反動で店の外まで吹き飛んでいくのは日常茶飯事だ。この「思い通りにいかなさ」こそが、本作の心臓部といえる。
カオスこそが正義、協力と崩壊のマルチプレイ

ソロでもプレイ可能だが、本作の真骨頂は最大4人のマルチプレイにある。2人プレイでも「衛生管理者が卒倒する」ような光景が広がるが、4人となればもはや戦場だ。
一人がパティを狙撃し、もう一人が空中でキャッチ(という名の射撃)を試みる。その横でARを乱射してキッチンの備品を破壊する仲間がいれば、そこには完璧な「自由」が完成する。注文間違いや食材の紛失、あるいは誤射によって注文が台無しになるたび、ボイスチャットは爆笑と悲鳴に包まれるだろう。
成長とカスタマイズ、そして広がるアメリカ

キャンペーンモードでは、テキサスの砂漠からフロリダの湿地帯まで、アメリカをモデルにした(あくまで「自称」だが)多様なステージを巡ることになる。各地のクセの強い客を満足させるたびに、より愛国的でド派手なコスメティックアイテムがアンロックされる仕組みだ。
正直なところ、ゲームバランスや緻密な戦略といった言葉はこのゲームには似合わない。しかし、目の前の食材をぶち抜き、偶然にも完璧なハンバーガーが組み上がった瞬間の達成感は、他のクッキングゲームでは味わえない中毒性がある。
総評:最高にクールでバカげた祝祭

『American Cooking Simulator』は、システムの完成度を競うゲームではない。コンセプトの破壊力と、その場のノリを全力で楽しむための「体験型パーティーゲーム」だ。
「普通に料理するのに飽きた」「友人と腹を抱えて笑いたい」。そんなプレイヤーにとって、これ以上の選択肢はないだろう。銃弾が飛び交い、食材が舞うキッチンで、あなただけの「自由」を調理してみてはいかがだろうか。
ゲーム概要
- タイトル: American Cooking Simulator: Multiplayer
- 発売日: 2026年
- 開発元: Freedom Burger Games
- パブリッシャー: Artex
- ジャンル: マルチプレイ・クッキングアクション / パーティーゲーム
- プラットフォーム: Steam
- 言語: 日本語対応未定(UI/音声は英語主体)
- ストアページ: Steamリンク






