ゾンビが蔓延るポスト・アポカリプス。多くのゲームでは「生き残るために戦う」ことが主目的だが、本作『The Walking Trade』の主人公が選んだ道は少し違う。混沌とした世界で店を構え、物資を売り、利益を出す。そう、「商売」こそがこの男のサバイバルなのだ。
カオスと商業が真っ向から衝突する本作は、店舗経営と拠点防衛アクションが絶妙なバランスで融合した、実に個性的で中毒性の高いタイトルに仕上がっている。
ゾンビを剥いで棚に並べる、唯一無二の経営ループ

本作の基本サイクルは、商品の調達、陳列、販売、そして防衛だ。面白いのはその商品の仕入れ方法。もちろん生存者を雇って外部へスカベンジ(物資調達)に行かせることもできるが、手っ取り早いのは店の周りをうろつくゾンビを「処理」することだ。
倒したゾンビの死体から得られる戦利品をそのまま棚に並べ、やってくる生存者たちに売りつける。この、倫理観をちょっと脇に置いた「地産地消」スタイルがたまらなくシュールで面白い。レジ打ちの効果音や、棚を整理して価格を設定する作業は、この殺伐とした世界観の中で不思議な「癒やし」すら感じさせてくれる。
突如として訪れる「接客」から「戦闘」への切り替え

しかし、ここは平和な商店街ではない。接客に追われている最中でも、ゾンビの大群や略奪者が容赦なく店を襲撃してくる。ついさっきまで笑顔(?)でレジを打っていたかと思えば、次の瞬間にはショットガンを手に取り、バリケード越しに引き金を引き、客の安全を守るために奮闘することになる。
この「静」と「動」のギャップが、プレイヤーを飽きさせない。時には客が自衛のためにロケットランチャーをぶっ放し、店の一部を派手に吹き飛ばしてくれることもあるが、そんなトラブルさえも「終末世界だし仕方ないか」と笑えてしまう懐の深さがこのゲームにはある。
効率化の鍵を握る「クセの強い」従業員たち

店が大きくなれば一人では手が回らなくなる。そこで生存者を雇うことになるのだが、この従業員たちがなかなかに個性的(あるいは少々おバカ)で目が離せない。清掃を任せれば変なところに物を置いたり、たまに角にハマって動けなくなっていたりすることもある。
だが、彼らに武器を渡し、スキルを上げ、役割を最適化していく過程はまさにシミュレーターの醍醐味だ。完全自動化された店舗で、自分は悠々と店のアップグレードを検討する……そんな「終末の富豪」気分を味わえるようになると、もうこのゲームの虜になっているはずだ。
荒削りだが、それ以上に輝く「中毒性」

正直に言えば、物理演算の挙動が予測不能だったり、UIに少し不便な点があったりと、洗練されていない部分も見受けられる。しかし、それらを補って余りあるほど、「ゾンビの世界で店を営む」というコンセプトの実現度が高い。
1,200円という価格を考えれば、そのプレイ体験の密度は圧倒的だ。「あと一日だけ店を開けよう」と思っていたら、気づけば現実の数時間が溶けていた……なんてことも珍しくない。
総評:カオスを愛せる商売人なら「買い」の一本

『The Walking Trade』は、完璧なゲームではないかもしれない。だが、間違いなく「熱量」のあるゲームだ。日々アップデートでコンテンツが追加されており、このカオスな商店街がどこまで広がりを見せるのか、期待せずにはいられない。
慈悲深い店主としてコミュニティを支えるか、それとも利益第一の冷酷な支配者になるか。この狂った世界で、あなただけの「商い」を始めてみてはいかがだろうか。
ゲーム概要
- タイトル: The Walking Trade
- 発売日: 2026年3月5日
- 価格: 1,200円
- ジャンル: ゾンビサバイバル店舗経営シミュレーション
- 開発元: Microwave Games
- パブリッシャー: PlayWay S.A.
- 対応言語: 日本語(字幕対応)
- 特徴:
- 自由度の高い店舗レイアウトと装飾
- ゾンビや略奪者から店を守るディフェンスアクション
- 生存者を雇用し、役割(レジ、清掃、警備、調達)を割り当てるマネジメント要素
- クラフトステーションによる武器、ツール、家具の作成
- 評判システムによるコミュニティとの関わり
- ストアリンク: Steam:The Walking Trade






