かつてコンソールで多くのプレイヤーの涙を誘った珠玉の絵本アドベンチャーが、ついにPCの世界へやってきました。手描き風の繊細なグラフィックと、朗読で進む独特のスタイルが特徴の本作は、一歩足を踏み入れた瞬間から、プレイヤーをどこか切なくも温かいおとぎ話のなかへと引き込みます。
鋭い爪の化け物と光を失った王子が紡ぐ不器用な旅路

物語の主役は、美しい歌声を持つ狼の化け物と、その歌声に魅了された人間の王子。あるアクシデントから王子の視力を奪ってしまった狼は、自らの声を代償に「お姫様」の姿を手に入れ、王子の目を治すために魔女の元へと旅立ちます。
自分が王子を傷つけた張本人であるという残酷な真実を隠したまま、手を繋いで進む道中には、常に嘘がもたらす切なさと孤独が漂っています。異質な存在同士が少しずつ歩み寄り、互いを想い合う姿は、現代の私たちが忘れがちな「誠実さ」や「優しさ」を強く問いかけてくるかのようです。
実際に体験して分かった、変身が生み出す極上のカタルシスと手触り

スクリーン越しにこの美しい世界に触れ、王子を先導した瞬間の没入感は今も胸に残っています。
プレイヤーは状況に応じて「狼」と「姫」の姿を使い分けることになります。怪物をなぎ倒し、重いギミックを動かすときは強大な狼の姿へ。そして、目の見えない王子の手を引き、狭い隙間を進むときは小さな姫の姿へ。この「姿を変える」というシステムが、そのまま物語の感情線と見事にシンクロしているのです。
狼の姿のときはその圧倒的な力強さに高揚を覚える一方で、王子の手を握るためには人間の姿に戻らなければなりません。姫の姿のときに、そっと王子の手を引いて歩くあの瞬間。キーボードやコントローラーを通じて伝わってくるのは、単なるキャラクターの移動ではなく、文字通り「大切な人を壊さないように守る」という強い意志そのものです。
ステージの随所に用意されたパズルや、足場を渡っていくアクションは、シンプルながらも一筋縄ではいかない場面があり、ほどよい緊張感を提供してくれます。時に王子の安全を確保するために思考を巡らせ、時にタイミングを計って障害を乗り越える。この不器用な二人三脚の旅路の果てに待つ結末を目の当たりにしたとき、抑えきれない感情が溢れ出し、目頭が熱くなるのを止められませんでした。
ゲームとしてのボリュームは決して長大ではありません。しかし、無駄を徹底的に削ぎ落としたからこそ、一編の美しい短編小説を読み終えたかのような、深く、そしていつまでも心に残る余韻を味わうことができます。

ゲーム概要
- タイトル: 嘘つき姫と盲目王子
- ジャンル: 2D横スクロールアクションアドベンチャー
- 発売日: 2026年3月11日(Steam版)
- 開発元: Nippon Ichi Software, Inc. , Systemsoft beta, Inc.
- パブリッシャー: NIS America, Inc.
- 価格: ¥ 2,980
- 対応言語: 日本語フル対応
- ストアページ: Steamストアリンク






