背後には終わりなき海、目の前には巨大な門。記憶を失ったプレイヤーに残されたのは、不気味なクリーチャーが蠢く未知の迷宮へ足を踏み入れ、素材を集めて脱出用のイカダを組み上げるという過酷な運命だけだ。
Absam Studiosが手掛ける『MAZEBOUND: Hunt, Gather, Run!』は、自動生成される狂気の迷宮を舞台にした、ハードコア仕様のサバイバルホラーアクションである。
手押し車にすべてを詰め込め!斬新な物理演算インベントリ

本作最大の特徴であり、他のサバイバルゲームと一線を画しているのが「インベントリの概念」だ。プレイヤー自身の持ち枠は極めて限定されており、採掘した木石や貴重な素材の大部分は、1台の手押し車(カート)に物理的に積み込んで運ぶ必要がある。
この手押し車が実に愛らしく、そして恐ろしい。独自の物理演算で動いているため、調子に乗って素材を積みすぎたり、迷宮の段差を勢いよく進んだりすると、中身が派手に飛び散って文字通り「大惨事」になる。しかし、手押し車を徐々にアップグレードし、最終的に強力なバリスタを搭載して移動要塞化していくプロセスは、何物にも代えがたい高揚感を与えてくれる。
プレイヤーの精神を削る、一癖も二癖もある異形たち

迷宮の内部は完全に生きている。エリアを進むごとに難易度は上昇し、遭遇するクリーチャーたちも狂気を増していく。
「見つめると動きを止める顔」や「こちらの武器を執拗に狙ってくる奇妙な存在」など、ギミックに満ちた敵がプレイヤーの行く手を阻む。時にはせっかく作った手押し車の車輪を丸ごと盗まれ、敵集団にパレードのように持ち歩かれるという、絶望と爆笑が紙一重のシチュエーションに追い込まれることも。戦闘は回避やパリーが存在しない泥臭いスタブ&ポークスタイル。だからこそ、一瞬の立ち回りのミスが命取りになる緊張感がたまらない。
ソロプレイでは一歩進むごとに死を覚悟するほどの高難易度だが、マルチプレイに足を踏み入れた途端、本作は最高の「お祭りホラー」へと変貌する。手押し車を囲んで全員で移動しなければならない仕様が、自然とプレイヤー同士の連帯感を生み出し、暗闇から飛び出すジャンプスケアに仲間が悲鳴を上げるたび、最高のエンターテインメントが完成する。
総評:不条理を笑い飛ばせる最高のフレンドと挑みたい一作

インディーゲーム特有の荒削りな部分や、ボス戦のシビアなバランス調整など、万人向けとは言い難い尖った部分もある。しかし、それを補って余りある固有の雰囲気と、手押し車を巡る独創的なシステムが本作を特別なものにしている。
絶望的な迷宮の闇の中、仲間と声を掛け合いながら素材を運び、幾度もの死を乗り越えて脱出のヒントを掴み取った時の達成感は格別だ。この理不尽で愛おしい迷宮サバイバルに、ぜひ身を投じてみてほしい。

ゲーム概要
- タイトル: MAZEBOUND: Hunt, Gather, Run!
- ジャンル: サバイバルホラー / ローグライククラフト
- 開発元 / パブリッシャー: Absam Studios
- 発売日: 2026年5月13日
- 価格: ¥ 1,350
- 対応言語: 日本語非対応(英語ほか)
- ストアリンク: https://store.steampowered.com/app/3616260/MAZEBOUND_Hunt_Gather_Run/







