カラフルでポップなアメコミ風のグラフィックに惹かれて足を踏み入れると、そこに待っていたのは甘いドーナツと、想像以上に泥臭く人間味に溢れたセラピーのような物語だった。
『High Times – Dating/Cooking Sim』は、お客の感情を変化させる不思議なドーナツを振る舞いながら、自分自身や周囲の人間関係に向き合っていく経営&恋愛シミュレーションだ。今回は一足早く店内での接客とドーナツ作りを体験できたため、その手触りをお伝えする。
感情を動かすドーナツ作りとリアルな接客の醍醐味

本作の舞台となる「The Hotbox」で求められるのは、単に注文通りの品を素早く出すことではない。来店するお客たちは一筋縄ではいかない悩みを抱えており、彼らの抽象的なつぶやきや表情から「いま何を必要としているのか」を推測し、最適な効果を持つドーナツを仕立て上げる必要がある。
体験版の時点で調理プロセスは手作業感に満ちていた。生地をこねて揚げ、シロップを塗り、トッピングを施す。この一連の工程を丁寧に行うほど、完成時の達成感と得られるチップの重みが変わってくる仕組みだ。ときにはお客の曖昧なオーダーに頭を悩ませ、「これで本当に気持ちを前向きにできるだろうか?」と試行錯誤する時間がそのままゲームの面白さに直結している。
個性豊かなキャラクターと重厚なテキストが描くドラマ

物語を彩るキャスト陣の存在感も際立つ。6人の主要な恋愛対象をはじめ、30人を超えるバラエティ豊かなお客たちが店を訪れる。彼らとの会話選択肢は膨大で、丁寧なフルボイス演出も相まって、まるで動くコミックを読み進めているかのような感覚に浸れる。特に音信不通になった元恋人たちと再会し、過去のトラウマや心の傷に決着をつけていく展開は胸に刺さるものがあり、単なるポップな恋愛物に留まらない深みを感じさせた。
もちろん、手作業での調理工程や日々の接客には相応の作業感が伴い、テンポ良くストーリーだけを追いかけたい場面では少しじれったく感じる瞬間もある。また、シロップを塗る際のアクションなど細かな操作性にやや慣れが必要な点や、セーブ手順の分かりにくさといったインターフェース面の惜しさも散見される。それでも、自身の選択や提供したドーナツによってキャラクターたちの未来が変化していくプロセスは、製品版への期待を高めるに十分な魅力を放っている。
総評:製品版への期待が高まるビター&スウィートな出来栄え

『High Times – Dating/Cooking Sim』の体験版は、じっくりと腰を据えてキャラクターたちの心の機微に触れたいプレイヤーに刺さる一作となっていた。刺激的なサウンドトラックと鮮やかなヴィジュアルに包まれながら、自分だけのドーナツショップで心を通わせる体験は、製品版の発売が実に待ち遠しくなるクオリティだ。
ゲーム概要
- タイトル: High Times – Dating/Cooking Sim
- ジャンル: 経営・恋愛シミュレーション / ビジュアルノベル
- 発売日: 2026年7月23日
- 開発元: Yangyang Mobile
- パブリッシャー: Yangyang Mobile
- 対応言語: 英語(音声フルボイス対応) ※日本語非対応
- ストアリンク: Steamストアページ






