カメラのファインダーを覗き込み、かつて母が撮影した景色と全く同じ構図を追い求める。シャッターを切った瞬間、レンズの向こう側に広がる世界が鮮やかに輝き、過去の記憶へと吸い込まれていく——。
Silver Lining Studioが手掛ける『The Star Named EOS ~未明の軌跡へ~』は、一枚の写真を手がかりに失踪した母親の足跡を追う、ストーリー重視のパズルアドベンチャーだ。手描きアニメーションで彩られた美しい世界観と、どこかノスタルジックな空気感が漂う本作の魅力をお届けする。
ファインダー越しに交錯する過去と現在

プレイヤーは若き写真家「デイ」となり、幼い頃に届いた母からの手紙と、そこに同封されていた風景写真をたどる旅へと足を踏み入れる。
本作の核となるのは、360度見渡せる手描きパノラマ空間の探索と「撮影」メカニクスだ。部屋の中や旅先の風景をじっくりと観察し、小物を配置したり仕掛けを解いたりしながら、過去の写真と同じ構図を作り出していく。ファインダーを合わせ、カシャリとシャッターを切る動作そのものが物語を進める鍵となっており、写真を通じて過去の記憶を追体験する感覚は非常に心地よい。
手描きの暖かみがあるグラフィックは美しく、劇伴やキャラクターボイス(日本語音声対応)の質の高さも相まって、上質な長編アニメーション映画の中に迷い込んだかのような没入感をもたらしてくれる。
記憶の糸をたぐる静かな謎解き

作中に登場するパズルは、周囲の観察やアイテムの組み合わせ、暗号の解読といったオーソドックスなポイント&クリック形式が中心となっている。難易度は高すぎず低すぎず、ストーリーのテンポを阻害しない程よいバランスに整えられている。万が一詰まってしまっても、2段階のヒント機能が用意されているため、謎解きに慣れていないプレイヤーでも安心して最後までプレイ可能だ。
物語が進むにつれ、単なる「家族の思い出探し」にとどまらない、哀愁を含んだ深いドラマが明かされていく。静けさの中に漂う切なさと、すべてを解き明かした後に訪れる温かな余韻。2〜3時間程度で区切りがつく短編作品ながら、心に静かに残る濃密な時間を味わうことができた。
あえて難点を挙げるなら、純粋なパズルゲームとしての歯ごたえを求める人や、広大な世界を自由自在に歩き回るアクション性を求める人には、やや物足りなく感じられるかもしれない。しかし、休日のひとときに紅茶でも飲みながら、静かでエモーショナルな物語に没頭したい時には、これ以上ない一作だ。

ゲーム概要
- タイトル: The Star Named EOS ~未明の軌跡へ~
- ジャンル: ストーリー重視パズルアドベンチャー
- 開発元: Silver Lining Studio
- パブリッシャー: PLAYISM
- 発売日: 2024年7月22日
- 対応言語: 日本語(音声・字幕対応)、英語、中国語 ほか
- 価格: ¥ 1,700
- ストアページ: Steamストアリンク







