かつて世界中のインディーゲームファンを「ダンジョン探索」と「店舗経営」という二足のわらじで虜にした名作『Moonlighter』。その待望の続編となる『Moonlighter 2: The Endless Vault』が、2025年11月19日より早期アクセスを開始した。
前作のドット絵スタイルから一転、3Dグラフィックへと大胆な進化を遂げた本作。「コレじゃない」と食わず嫌いをするにはあまりにも惜しい。実際にプレイしてみると、そこにはローグライトアクションの最新トレンドを取り込みつつ、「商売」という独自のエッセンスで味付けされた、極めて中毒性の高いループが待っていた。
今回は、Steamでの早期アクセスが始まったばかりの本作を実際にプレイし、その魅力と現時点での手触りについて、正直なレビューをお届けしたい。
ピクセルから3Dへ、そして「部屋クリア型」への華麗な転身

まず目を引くのはビジュアルの変化だ。前作の緻密なピクセルアートを愛していたファンとして、3D化には一抹の不安があったのは事実だ。しかし、実際に動かしてみるとその不安はすぐに払拭された。トゥーンシェードのかかったキャラクターや敵のデザインは、「Moonlighterらしさ」をしっかりと継承しており、むしろ奥行きが生まれたことでダンジョンの空気感がよりリッチになっている。
ゲームプレイの構造も大きく変わった。前作がゼルダの伝説的なフロア探索型だったのに対し、本作はいわゆる『Hades』ライクな「部屋クリア報酬選択型」のローグライトアクションへと舵を切っている。
部屋の敵を全滅させると、次の部屋への扉とともに報酬(スキル強化、通貨、回復など)が提示される。このシステム変更により、テンポ感が劇的に向上した。ダッシュ(回避)を駆使して敵の弾幕をくぐり抜け、大剣でまとめてなぎ払う爽快感は格別だ。特に今作から登場した「銃」と近接武器のスイッチングがスムーズで、遠距離から空中の敵を撃ち落とし、地上戦は拳や剣で制圧するといった、アクションゲームとしての深みが増している。
脳汁が出る「カバン整理」という名のパズル

本作をただのアクションゲームと一線を画すものにしているのが、シリーズ代名詞とも言える「バックパック」システムだ。
ダンジョンで拾ったお宝をカバンに詰めるのだが、これは単なるインベントリ整理ではない。「隣接するアイテムを破壊する」「破壊されたアイテムの価値を吸収する」といった特殊効果を持つアーティファクトが存在するため、カバンの中身がそのままパズルゲームになるのだ。
例えば、安物の素材をあえて「燃やす」効果のあるアイテムの隣に配置し、その犠牲によってレアアイテムの売値を底上げする……といったニッチな戦略がハマった時の快感は凄まじい。ダンジョンの奥深く、HPが残りわずかな状況で、「これを捨ててあれを取るか、いや、ここで合成して……」と悩む時間は、戦闘中以上に手に汗握る瞬間かもしれない。
客の顔色を伺い、適正価格を見極める「商売」の快感

ダンジョンから無事に帰還すれば、そこからは「店主」としての戦いが始まる。拾ってきた戦利品を棚に並べ、自分で価格を設定し、開店する。
この「価格設定」のアナログ感がたまらない。高すぎれば客は怒って帰ってしまうし、安すぎれば大損する上に転売ヤー(のような客)に買い占められるリスクもある。客のリアクションアイコン(笑顔や不満顔)を凝視しながら、1ゴールド単位で価格を調整し、「適正価格」を見つけ出した時の達成感は、ボスを倒した時とはまた違った種類のドーパミンが出る。
さらに、稼いだ金で村の施設に投資し、鍛冶屋やポーション屋を呼び戻すことで、次の冒険が楽になる。この「冒険→販売→投資→強化」というループの完成度は前作以上で、気づけば「あと1回だけ潜ろう」を繰り返し、深夜3時を迎えてしまう危険な魅力を秘めている。
早期アクセスならではの荒削りさと、開発への期待

もちろん、早期アクセスならではの課題もある。一部のユーザーレビューでも指摘されているように、ボスの無敵時間が長すぎてテンポを削ぐ場面や、特定の武器バランス(槍や拳の使い勝手など)には調整の余地があると感じた。また、Steam Deckなどの携帯機環境でのパフォーマンスに関しては、発売直後は不安定だったようだが、開発チームが迅速にパッチを当てて対応している点は好印象だ。
ネガティブな意見として「前作のシステムが恋しい」という声も散見されるが、個人的には「Hades」や「Cult of the Lamb」などのモダンなローグライトの文法を取り入れつつ、ショップ経営というオリジナリティを融合させた本作の方向性は正解だと感じる。
何より、日本語ローカライズの質が高いのが嬉しい。ストーリーの没入感を損なうことなく、ウィルの新たな冒険を楽しむことができる。まだコンテンツ量やバランスには改善の余地があるものの、現時点でも「店主」としての喜びと「冒険者」としてのスリルを十分に味わえる良作だ。
アクションRPGが好きで、ちまちまとした経営や整理整頓に快感を覚えるタイプなら、迷わず「トレスナ」の村へ移住することをおすすめする。ただし、睡眠時間が削られる覚悟だけはしておいてほしい。
ゲーム概要
- タイトル: Moonlighter 2: The Endless Vault
- ジャンル: アクションRPG / ローグライト / ショップ経営
- 開発元: Digital Sun
- パブリッシャー: 11 bit studios
- プラットフォーム: PC (Steam)
- 発売日: 2025年11月19日(早期アクセス)
- 価格: 3,400円
- ストアURL: https://store.steampowered.com/app/2350790/Moonlighter_2_The_Endless_Vault/






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