レストラン経営をテーマにしたゲームといえば、阿吽の呼吸で料理を完成させる協力プレイが定番。しかし、本作『Kitchen Wars』が提示するのは、協力の皮をかぶった「全力の足の引っ張り合い」である。
プレイヤーは2つのチームに分かれ、どちらがより多くの顧客を満足させられるかを競う。ここまでは普通だが、本作の肝は「相手の営業を物理的に阻止できる」という点にある。椅子を盗んで客を座らせない、アイテムを投げつけて作業を中断させる、武器を手に取り直接攻撃を仕掛ける……。もはやこれはサービス業ではなく、飲食店の皮をかぶった抗争だ。
厨房は戦場だ。ただし、戦う相手は「注文」ではなく「隣の店」
効率化か、それとも純粋な暴力か

実際にプレイしてみると、このゲームがいかに「性格の悪さ」を推奨しているかがよくわかる。真面目に料理を運んで利益を上げ、キッチンをアップグレードする王道の戦略もアリだが、それ以上に「いかに効率よく相手の邪魔をするか」という戦略が重要になってくるのだ。
特に盛り上がるのが、敵のレストランから「椅子を盗む」瞬間。客が来ても座る場所がなければ注文は発生しない。必死に走り回る相手チームを尻目に、その生命線である椅子を抱えて自陣へ持ち帰る時の全能感は、他のゲームではなかなか味わえない中毒性がある。
操作感はかなりクイックで、戦場と化したキッチン内をドタバタと駆け回る感覚は、まさにカオスそのもの。筆者も友人とプレイしたが、最初は協力していたはずが、気づけばお互いの足を引っ張り合い、最終的にはリアルで「ちょっと待てよ!」と声が出るほどの熱戦(乱闘)が繰り広げられた。
荒削りだが、その「雑さ」が笑いに変わる

正直に言えば、グラフィックやシステム面に洗練されていない部分は見受けられる。だが、この580円という低価格帯のインディーゲームにおいて、そこを追求するのは野暮というものだろう。むしろ、そのシュールで予測不能な挙動こそが、マルチプレイにおける「笑い」の起爆剤となっている。
洗練されたシミュレーターを求めている人には向かないかもしれない。しかし、気心の知れた友人と集まり、ビール片手にお互いの店をめちゃくちゃにする、そんな「最高にくだらない一夜」を過ごしたいなら、これほどコストパフォーマンスに優れた作品も珍しい。
このキッチンには、平和な時間など1秒もない。だが、その混乱こそが本作の最大のスパイスなのだ。
ゲーム概要
- タイトル: Kitchen Wars
- 発売日: 2025年8月4日
- 開発元: Silent Owl
- パブリッシャー: Perfect Gen, GrabTheGames
- 価格: ¥ 580
- ジャンル: アクション / パーティー / 妨害シミュレーション
- プレイ人数: 1~4人(ローカル / オンライン対応)
- 言語: 日本語字幕対応
- ストアページ: Steam Store







