世界中の密集した都市や、路地裏の雑多な風景に心を惹かれたことはないだろうか。そんな猥雑(わいざつ)で魅力的な建築美を、自分の手で文字通り「積み上げる」ことができる至高のカジュアルパズルゲームが誕生した。それが、Erik Rempen氏が手掛ける『ShantyTown』だ。
本作は、プレイヤーが測量士となり、限られたスペースに建物や装飾を配置していく高密度ジオラマパズルゲーム。時間制限や手痛いゲームオーバーといったストレス要素は一切なく、ヴェイパーウェイブアーティストMacroblank氏による極上の癒やし系サウンドトラックに耳を傾けながら、心ゆくまで自分だけの混沌とした街並みを作り上げることができる。
制限が生み出す、圧倒的な「ごちゃごちゃ感」の心地よさ

本作の面白さの核心は、「手札から引いたオブジェクトを限られたスペースにいかに詰め込むか」というパズル要素にある。フードトラック、ネオンサイン、工業用の煙突、そして密集した家々。一見するとカオス極まりない組み合わせだが、これらを狭い路地や屋根の上に絶妙に配置していくプロセスが、驚くほど中毒性が高い。
効率よくスペースを埋める楽しさに気づくと、脳汁が溢れ出るような快感を味わえる。例えば、落書き(グラフィティ)を施すことで、その場所が「美しい装飾」としてカウントされるといったユニークな仕様もあり、スラム街的な猥雑さを肯定してくれるデザインがたまらない。
建築から始まる、ゆるやかな物語と最高の達成感

用意された20のロケーションには、それぞれ固有の雰囲気とちょっとした目標が設定されている。カジノの温かみのある灯りや、狭いパイプに囲まれた空間など、新しいマップを開拓するたびに新鮮な驚きがある。
建物に照明や設備を追加してアップグレードを完了すると、さらに新しいオブジェクトや装飾が解放される仕組みだ。お気に入りのオブジェクトを配置し、電線を繋いで街にパッと明かりが灯った瞬間の満足感は、何物にも代えがたい。
さらに素晴らしいのは、クリアしたマップの全景がひとつの大きな世界として繋がっていく点だ。自分が過去に手がけたビル群が背景にそびえ立つのを見たとき、この世界に確かな命を吹き込んだのだと実感させてくれる。
自由を愛する人のためのクリエイティブモードも

シナリオに沿ったパズルを楽しんだ後は、アンロックしたアイテムを制限なしに配置できる「クリエイティブモード」や、広大なサンドボックス空間「Blankspace」が牙をむく。ここでは文字通り、無限の建築が可能だ。
建物を限界まで積み重ねたり、細部まで作り込んだオリジナルのお店をデザインしたりと、時間を忘れて没頭してしまう。時間を忘れて朝までプレイしてしまうポテンシャルを秘めた、恐ろしいモードである。
操作面において、一部の入り組んだ狭いエリアでのカメラワークや、オブジェクトの微調整に少しコツが必要な場面(プラットフォームの高さ調整など)もあるが、それすらも「混沌とした街づくり」という本作のテーマの前では、愛すべき味わいとして昇華されている。
総評:忙しい日常を忘れられる、大人のための極上ジオラマ

『ShantyTown』は、経済を回したり住民の不満を解消したりする、従来の重厚な都市開発シミュレーションではない。ここにあるのは、正解も不正解もない自由な創作の場だ。
コーヒーを片手に、散らかった小さな隅々まで個性を詰め込んでいく。そんな贅沢な時間を過ごしたい人に、自信を持っておすすめしたい一作だ。
ゲーム概要
- タイトル: ShantyTown
- 開発元: Erik Rempen
- パブリッシャー: Kinephantom Games
- 発売日: 2026年4月16日
- 価格: 1,700円
- 対応言語: 日本語字幕対応
- 公式ハッシュタグ: #ShantyTown
- ストアページ: Steamストアリンク







