謎の廃施設、霧に包まれた不気味な生態系、そして天を仰ぐほどに巨大な異形の生物たち。Chicken Launcherが手掛ける『Project: Mist』は、オープンワールド型サバイバルホラーに独自のスパイスをこれでもかと詰め込んだ、非常に挑戦的なタイトルだ。
プレイヤーを魅了してやまない本作の混沌とした魅力と、実際に異界の島へと足を踏み入れたような臨場感あふれるプレイフィールをレポートする。
圧倒的な“巨物”への恐怖と重厚な世界観

目覚めたのは、冷たいコンクリートの地下バンカー。無線から聞こえる謎の声を頼りに地上へ出ると、そこは視界を遮る濃霧と、聞いたこともない咆哮がこだまする絶望の島だった。
本作の空気感は極めて重い。木を伐採する音、石を砕く音、クロスボウをリロードする音のすべてが静寂を切り裂き、周囲の脅威を呼び寄せるのではないかという極限の緊張感が常に付きまとう。そして何より圧倒されるのは、空を浮遊する巨大なクジラのような生物や、地形と見紛うほどの超巨大ボスたちだ。この「未知の巨物に対する恐怖」の演出が凄まじく、不用意に手を出せば一瞬で文字通り塵にされる絶望感を味わえる。
自由度の高いサバイバルとシステムハックの快感

過酷な環境を生き抜くためのサバイバル要素は、泥臭くも非常にロジカルだ。飢えと渇きを凌ぐため、島に生息する奇妙な虫や野生生物を捕獲し、調理ステーションで怪しい鍋を作り上げる。食材の組み合わせ次第で、移動速度が劇的に上昇するなどのユニークなバフ効果が発現するため、実験感覚でのクラフトが止められない。
戦闘では、オブジェクトを自在に操れる「グラビティガン」のような物理干渉ツールが独自の立ち回りを可能にしている。周囲のガレキを掴んで敵に投げつけたり、環境を利用して罠にハメたりと、プレイヤーのひらめきがそのまま戦術になる自由度の高さが実に素晴らしい。
荒削りながらも、寝食を忘れて没頭させるインディーの血脈

本作の最大の特徴であり、旅の相棒となるのが「移動する列車基地」だ。線路に沿って島の奥地へと進むこの拠点は、自由にアップグレードや防備の拡張が可能。危険な夜間の襲撃(レイド)に備え、車上に防衛線を築き上げるプロセスは、往年の名作サバイバルゲームの系譜を感じさせ、じっくりと腰を据えて遊びたくなる魅力に満ちている。
正直なところ、現段階ではオブジェクトのコリジョン抜けや、クエストの挙動など、インディーゲーム特有の「粗さ(Jank)」は随所に見られる。洗練された大作の手触りを期待すると戸惑うかもしれない。しかし、それを補って余りある不気味で美しいアートディレクション、探索すればするほど隠された物資やレシピが見つかる緻密なレベルデザインが、かつての『STALKER』や『Half-Life』に熱中した頃のような、純粋な冒険心を激しく揺さぶってくるのだ。
バグすらも不敵に笑い飛ばし、この異様な世界をサバイブする強い意志を持つゲーマーであれば、本作は間違いなく、時間を忘れて貪り尽くせる至高のダイヤの原石となるだろう。
ゲーム概要
- タイトル: Project: Mist
- 発売日: 2026年5月19日
- 開発元 / パブリッシャー: Chicken Launcher
- 価格: 3,150円
- ジャンル: オープンワールド・サバイバルホラー
- 対応言語: 日本語字幕対応
- プラットフォーム: PC(Steam)
- ストアページ: Steam Storeリンク







