薄暗く不気味なバーの片隅、目の前に鎮座する一台のコインプッシャー。出口のドアに貼られた価格タグには「3000万」の文字。唐突に理不尽な状況へ突き落とされたプレイヤーに残された選択肢は、台にコインを投入し続け、圧倒的な金銭を稼ぎ出して生きて脱出することだけだ。
まずはその独特な空気感と、物理演算が描く狂気のコインタワー映像をチェックしてほしい。
物理演算の爽快感とサイコホラーが融合した異色作

本作の根幹にあるのは、ゲームセンターでおなじみの「コイン落とし」だ。しかし、ただコインを投げて押し出すだけの優雅な遊びではない。狙いを定めて投入し、大量のコインが押し出される瞬間の手応え、そして画面を埋め尽くすほどの「コインタワー」が崩れ落ちる物理的な快感は、現実の筐体では決して味わえないレベルまで過激に昇華されている。
視点は第一人称で展開され、筐体を揺らすアクションや、稼いだ資金を怪しげな機械へ充填する動作など、圧倒的な没入感を生み出している。薄暗い店内に響く硬貨の重厚な金属音と、どこか不穏な環境音が合わさり、常に「失敗すれば命はない」という緊張感が漂う。
100種以上のアイテムと50種のBUFFが引き起こす「インフレの連鎖」

単なるシミュレーターにとどまらず、本作を極めて中毒性の高いゲームに仕立て上げているのが、ライトなローグライク要素とビルドの多様性だ。
1ラウンド終わるごとに、バーテンダーから効果の異なる酒を飲んで加成を得たり、怪しいアイテムやBUFFを購入して筐体を強化していく。
- コインの発生率や倍率を跳ね上げるパッシブアイテム
- 投入時の消費を抑えるアクティブスキル
- 大量の硬貨やタワーを直接発生させるルーレット機能
これらが噛み合った瞬間、ゲームの表情は一変する。一度シナジーが爆発すれば、画面狭しとコインタワーが爆死・連鎖し、一気に数百万単位のスコアが跳ね上がる。この「システムを壊して稼ぎまくる」感覚は、ビルド型ローグライクの醍醐味が詰まっていると言えるだろう。
もちろん、甘い話ばかりではない。時には強力なデメリットをもたらす要素や運の偏りに苦しめられることもあり、慎重なリスク管理が求められる。命懸けのデッドラインに追われながら、ギリギリの状態でリソースを回すスリルは病みつきになる。
暗い物語と周回で解放される謎

ただコインを増やすだけでなく、バーの裏に隠されたストーリーラインもプレイヤーを惹きつける。無言の商人や鍵のかかったトイレ、そしてプレイヤーを監視するかのようなバーテンダーの存在。マルチエンディングが採用されており、周回を重ねて手がかりを集めることで、この奇妙な空間の真相が少しずつ明かされていく。
失敗しても努力が無駄にならない永続的な成長要素が用意されているため、繰り返し挑むモチベーションが途切れない点も好印象だ。最初は手も足も出なかった過酷な目標金額も、知識の蓄積と解放された要素を駆使することで確実に手が届くようになっていく。
不気味な世界観の中で物理演算の快感と緻密な戦略性を同時に味わえる、癖は強いが非常に尖った魅力を持つ一作だ。
ゲーム概要
- タイトル: CoinPit
- ジャンル: 物理シミュレーション / ローグライク / サイコホラー
- 開発元: Trollix Games
- パブリッシャー: Trollix Games
- 発売日: 2026年6月10日
- 価格: 905円
- 対応言語: 日本語字幕対応(他多数)
- ストアページ: Steam Store Link






