デッキ構築型ローグライクというジャンルにおいて、新たな風を吹き込む意欲作が登場した。『Zodiac Mountain』は、笠をかぶった一匹のパンダが古代中国の神秘的な山々に挑み、十二支(十二生肖)の一座に名を連ねるべく試練に立ち向かうローグライク・デッキ構築ゲームだ。
水墨画タッチのオリエンタルなグラフィックと、カードの表裏を操る「陰陽システム」が融合した骨太な仕上がりとなっている。
陰と陽が交錯する独自のデュアルハンドシステム

本作の最大の魅力であり独自性を放っているのが、「陰」と「陽」の2つの手札を管理するリソースシステムだ。一般的なデッキ構築ゲームとは異なり、自動的に毎ターンエネルギーが全回復するわけではない。
カードはそれぞれ「陰」と「陽」の2つの側面を持っている。左手側の「陰」としてプレイすると、行動の源となる「気(Qi)」を生成したり、補助効果やドローを得ることができる。一方、右手側の「陽」としてプレイする場合は、その蓄えた気を消費して強力な攻撃や重厚な防御を繰り出す。
状況に応じて手札を陰から陽へ、あるいは陽から陰へと反転させることが可能で、「今このカードをリソース確保に回すべきか、それとも攻め手として使うべきか」というジレンマが常に付きまとう。手札そのものがコストでありアクションでもあるため、1ターンごとの思考密度は非常に高い。
敵の行動を先読みするターンキューと緻密な山道ルート

戦闘画面には敵の次ターンの行動だけでなく、複数手先までの行動キューが視覚化されている。これにより、「次の強烈な連撃に備えてあえて攻撃を控え、手札を温存しながら守りを固める」といった長期的なタクティクスが成立する。
道中の進行は、戦闘、エリート、商店、封印(強化)などのマスを選択しながら山を登っていくクラシックなスタイル。なかでも「封印」マスでは、戦闘で獲得した墨水を消費してカードの消費コストを下げたり、基礎数値を大幅に引き上げたりといったカスタマイズが可能だ。キーカードを0コスト化できた瞬間の爆発力は爽快で、シナジーが噛み合ったときの快感は格別と言える。
美しい水墨画アートと『山海経』の神話世界

視覚・聴覚面での没入感も特筆すべき点だ。伝統的な水墨画や水彩画の手法を取り入れたグラフィックは、動く絵巻物を眺めているかのような風情がある。
立ちふさがる異獣たちは中国の古典『山海経』や民話に着想を得ており、繊細な2Dアニメーションによって独特の迫力を持って描かれる。ボスとして待ち受ける十二支の神獣たちとの対峙は、静謐なBGMも相まって張り詰めた緊張感をもたらしてくれる。
早期アクセスゆえの課題と今後の期待
実際に登頂を繰り返してみると、現時点(早期アクセス段階)では実装されている章の数やボス、カードプールの総数に限りがあり、ビルドの多様性という点では発展途上の側面も見受けられる。また、道中の回復手段が限られているため、序盤のリソース管理や数値のブレに対してシビアな難度設定に感じられる場面もある。
しかし、開発チームのフィードバックに対する対応速度は早く、陰陽を切り替える基本ルールの完成度はすでに高い。今後のアップデートによるコンテンツの拡充やバランス調整が進めば、ジャンル屈指の個性派タイトルへと化けるポテンシャルを秘めている。

本作はこんなプレイヤーにおすすめ
- 『Slay the Spire』などのデッキ構築型ローグライクで、新しいリソース管理ギミックを味わいたい人
- 水墨画やオリエンタル神話の世界観、武術や哲学を落とし込んだアートワークが好きな人
- 敵の手の内を先読みし、数ターン先を見据えた詰将棋のようなプレイングを楽しみたい人
ゲーム概要
- タイトル:Zodiac Mountain
- ジャンル:ローグライク・デッキ構築 / ストラテジー
- 開発元:Mystic Road
- パブリッシャー:Mystic Road, Phoenix Game
- 発売日:2026年8月21日(早期アクセス)
- 価格:1,700円
- 対応言語:英語、中国語(簡体字) ※現時点で日本語は非対応
- ストアページ:Steamストアリンク






